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2013年、KMPとプレステージはなぜ4大メーカーから脱落したのか?

前回の記事:2013年、AV業界を振り返る(1)「アリスJAPAN・マックスエーの失われた1年」 

4大AVメーカーの売上とメーカーごとの専属女優数


4大AVメーカーとされるのはCA(卸はTIS、通称アウトビジョン。DMMグループと呼ぶこともある)、SOD、KMP(卸はトップマーシャル)、プレステージである。以下に2013年度の4大メーカーの売り上げ高を示す。

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帝国データバンクによる2013年度の売上高。アウトビジョンはTISだけで300億円以上の売上となっており、SODの実に二倍の規模を誇る。


見てわかるように、アウトビジョンが最大の規模をほこり、売上高はTISだけで300億円以上と、他の3勢力の売り上げの合計に匹敵する。

AV業界では約170人の専属女優が存在する。その70%近い約110人がアウトビジョン専属である(月刊DMM 2014年1月号)。この一強構造は、KUKIやhmpなどの旧ビデ倫系メーカーの没落で近年より明確になってきた。

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月刊DMM1月号にもとづく、2013年11月の専属の内訳。専属女優はAV業界で170人程度しかおらず、うち7割ほどをアウトビジョンが擁しており、単体作品に関して圧倒的な一強であることがわかる。

これまで、4大AVメーカーは旧ビデ倫系AVメーカーを駆逐する形で成長を続けてきたわけだが、今年に入り、この4大AVメーカーのなかでもKMPとプレステージの劣勢がはっきりしてきた。


KMPの度重なる「女優トラブル」という不運

KMPは藤井・成瀬・麻倉・神咲の有名専属で2013年を乗りきろうと目論んでいたのだろうが、現実は厳しいものであった。

KMPは、2012年9月に専属とした成瀬心美が体調不良を理由に2013年3月より長期休養で離脱したことで突如として人材難に見舞われた。成瀬は6月に緊急入院し東京を去り故郷に帰るなど病状の悪化が危惧されていた。しかしながら、成瀬は土壇場で回復したのか、12月、所属事務所ティーパワーズのアイドルユニットme-me*イベントで復活宣言を行った

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「復活」した成瀬。本格的な活動再開はいつになるのだろうか?
写真は左から藤北彩香、桜ここみ、成瀬心美、Maika、波多野結衣、佳苗るか。神咲詩織は写っていない。 

ただし、AV復帰に関しては明確ではない。成瀬の一連のツイートでは「充電は完了した」が、「作品は出さない」としている。




AV復帰となる場合、可能性があるとすればKMPだろうが、成瀬の知名度は非常に高いため、AV復帰せずにタレントとして活動する可能性もあるのではないか。ティーパワーズとしても広告塔とした方が長い目で見ればよいと考えるのではないか。

一方、KMPの看板として長らく活躍していた藤井シェリーは2012年12月4日以降ツイートがなく、2012年末〜2013年始の段階で、当時KMP代表だった北昭夫氏が「契約しているが、事情により撮影できない」と発言をしている。藤井は2013/1/11リリース分を最後に、引退報告もなくフェードアウトしてしまった。復活はもうないと考えるべきだろう。

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藤井は2008年デビューで長くKMPに尽くし、知名度も高かったが、うやむやのうちに消滅してしまったのは残念だ。

一方、2010年にKMP専属となった麻倉憂は2013年3月の作品を最後に「引退」してKMPを去った。だが、驚くべきことに早くも7月に復活し、無修正AVデビューしたため大きな話題となった。麻倉ほどの知名度のある単体女優が無修正に出演するのは極めて異例だったからだ。その後、12月に麻倉憂はKMPで「復活」し「再専属」となった。これはKMPにとっては屈辱的ではあるが、神咲詩織1人に頼る"KUKI状態"に危機感を覚え、なりふりかまわず再専属としたのであろう。

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12月発売の麻倉の「再専属」作。「ちょっぴり大人になった」は無修正AV出演のことを言っているのか?w

それ以外の専属女優としては一条綺美香が挙げられるがあくまでも熟女女優である。新人はデビューしてもいまいちぱっとせず、あまり話題にもなっていない。特に、KMPは6月に愛来ゆう、7月に愛美れいを有名ブランド『超美神』で連続デビューさせ長期専属を獲得しようと試みたが、愛来ゆうは12月作品を最後にリリースなし、愛美れいは10月作品を最後にキカタンとなるなど両者とも1年持たなかった。これにより、KMPの「美神」ブランドはhmpの「処女宮」並みまで落ちてしまったといえるだろう。

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「美神」と言われると、如月カレンや神谷姫、藤井シェリーと比べられてしまうのが厳しいところだね^^

このようにKMPは女優トラブルに相次いで見舞われたことで「美神」ブランドを失い、KMPの威信は大きく失墜したといえるだろう。

さらにKMPは、 レイディックスが考案した『オーダーメイドオナニー』を模倣した企画『あなた専用アダルトビデオ』で活路を見いだそうとしたが、 逆にレイディックス社長からツイッター上で「パクリメーカー」だと堂々批判され失笑を買った

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KMPの「パクリ」企画。パクリ以前にKMPがこのような商法に進出する事はTSUTAYA的にはOKなのだろうか?w

このようにKMPは不運と失策から侮りを招き、自身のブランド力に深い傷をつけてしまったと言える。神咲も麻倉もベテランであり、近い将来「完全引退」の可能性も十分ありうる。成瀬の復帰がない可能性を想定して新たな長期専属を獲得することが急務だろう。

「プレステージ神話」の崩壊とDMMへの「完全降伏」

後発ながら破竹の勢いで急成長をとげ、2012年には明日花キララ・加藤リナ・あやみ旬果で大幅な躍進を果たしたプレステージ。その全盛期を象徴する作品が2012年12月発売の『PRESTIGE専属女優があなたの夢叶えます!』だ。

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2012年12月発売。明日花キララ、加藤リナ、あやみ旬果と人気女優が集結したプレステージの最盛期を示す作品だ。
売り上げは芳しくなかったようだが。 

この作品では、明日花キララ、加藤リナ、あやみ旬果が揃って出演しており、プレステージの好調を強く印象づけるものといえる。しかしながら、2013年、明日花はCAに移籍、加藤は引退、あやみは休業と、看板3人がそろって壊滅的なダメージを被った。2013年は「プレステージ神話」が崩壊した年として記録されることだろう。

まずプレステージを去ったのは、加藤リナだ。2010年デビューの加藤リナは、プレステージ生え抜きで有名女優へと成長した女優であり、プレステージの躍進を象徴するような女優といえる。そんな加藤リナが3月に引退したのである。

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加藤リナの引退でプレステージに暗雲がたちこめたといえるだろう。

さらに、2009年からプレステージの看板女優として活躍してきた明日花キララが4月に卒業、7月にCAのエスワン専属となったことはAV業界の大事件として大きな注目を集めた。この「移籍」は、アウトビジョンが2002年に森下くるみをSODから引き抜いた事件を強く連想させる。看板女優が引き抜かれることはメーカーにとっては致命的である。プレステージのうけた衝撃は計り知れないといえよう。

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明日花キララのプレステージ卒業作品。明日花キララのCA(エスワン)への移籍により右肩上がり続きの「プレステージ神話」は崩壊した。

2人の離脱により、プレステージの顔となったのはあやみ旬果だが、そのあやみ旬果も9月より撮影休業となったことで多くの憶測を呼んだ。作品リリースは途切れず、あやみは年内に撮影に復帰したが、あやみが精神的に疲弊しているとすれば、あやみの移籍以前に早期引退の可能性もある。そうすれば、プレステージは明日花キララ獲得以前にまで一挙に後退し、「元の木阿弥」となってしまうだろう。

あやみが休業(実際にはイベントは休業しなかったようだが)を発表したのは9月中旬だったがそのツイートは削除したようだ。
 やっぱRTは非公式でもしとくべきだなw

ちなみにあやみの9月のツイート。当時このツイートが多くの憶測を呼び、引退するのではないかと噂された。

なお、プレステージの有名専属としては、ほかにme-me*の桜ここみが挙げられるが、桜は1月に卒業イベントを開催することが決定している。

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ポストあやみ旬果としては鈴村あいりが挙げられるが、まだまだ知名度は低く、ツイッターのフォロワー数も6000台と看板になるにはまだ時間がかかるだろう。このように、プレステージもまた、看板女優1人にたよる「KUKI的状況」となっている。プレステージ的には一刻も早くこの危険な状況を脱したいところだ。

ところで、プレステージは自前のMGSで動画配信を行っていたため、DMMでの動画配信に積極的ではなく、DVD発売の1ヶ月後に動画配信となっていた。しかしながら、上述した劣勢もあってか、プレステージは急遽7月になって方針を覆し、DMMでDVD発売と同時に動画配信開始を行い始めた。

7月のこの時点ですでにあやみ旬果がプレステージの顔となっていることに注目してほしい。

看板の明日花キララを引き抜いたDMMグループに発売日動画配信を開始したことは、DMMグループへのプレステージの「完全降伏」とみなすことができるだろう。なおDMM.com的には小売りやMGSに流れていた客から徴収できるわけで、プレステージを敵視する理由はなくなった。

以上まとめとなるが、
・KMPは女優トラブルで貴重な長期専属を失い、大きくブランドを傷つけた。
・プレステージは看板女優2人が引退&CAに移籍した上、DMMに降伏した。

こうして4強のうちの2強が脱落し、 2013年後半〜終盤にはアウトビジョンとSODの2強が激突する展開となった。次回はSODとアウトビジョンの2013年について見ていこう。

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