
KMP、プレステージの没落、そして「つぼみ専属」。激動のAV業界を読み解く。
「つぼみ専属」という衝撃
8月1日、9月より人気企画単体女優つぼみがムーディーズおよびワンズファクトリーW専属(いずれもアウトビジョンのレーベルであることから、つぼみはアウトビジョン専属ということになる)となるという衝撃的な発表がなされた。企画単体・成瀬心美が2012年9月にKMP専属となった時のある種の和やかな雰囲気とは対照的に、この「つぼみ専属」は大きな衝撃として、AV業界の大事件として強く記憶されることだろう。
アウトビジョンはなぜ今、「つぼみ専属」に踏み切ったのか、業界の今年に入ってからの激動を、4大AVメーカーの動きとともに振り返りたい。
KMPとプレステージの没落
4大AVメーカーとされるのはアウトビジョン(CA)、SOD、KMP、プレステージだが、実際にはアウトビジョンが突出した一強であり、SOD、KMP、プレステージを足し合わせただけの規模を誇る。特に単体女優では、全単体女優の実に半数以上がCA専属である(2013年2月、http://av-memo.com/archives/6931213.html)。このような一強構造は2012年の老舗メーカー(旧ビデ倫系メーカー)の没落により鮮明となっていた。そして、今年に入り、4大メーカーとされてきたKMPとプレステージも大きな打撃を受けることになったのである。
KMPの不運と失策
まず没落したのはKMPだ。KMPは、2012年9月に専属契約を結び、TBSラジオで番組まで持たせた成瀬心美が、「体調不良」を理由に今年3月から長期休養となった。成瀬は未だ回復しておらず、東京を去り故郷に帰ったとのツイートもしているほどで、今後の復帰は未定だ。さらに、麻倉憂が今年3月の作品を最後にKMPを去り、7月に無修正デビューしたことも大きな話題となった。これに加えて、藤井シェリーも事実上引退状態にあるため、KMPの看板女優が神咲詩織のみとなるという、極めて厳しい状況に追いやられた。
KMPは6月7月と2ヶ月連続で伝家の宝刀『超美神』(愛来ゆう、愛美れい)を連発して長期専属を獲得しようと試みたが、道のりは険しい。
さらにKMPは、 独立系マニアックメーカー・レイディックスが考案した『オーダーメイドオナニー』を完全コピーした企画『あなた専用アダルトビデオ』で活路を見いだそうとしたが、 逆にレイディックスからパクリメーカーだと名指しで批判され、失笑を招いた。
このように、KMPは不運とともに失策も続き、自らのブランドを大きく傷つけた。KMPはツイッター上で有力小売からも名指しで批判されており、KMPはもはや弱小メーカーへと転落したといえるだろう。
プレステージの降伏
2012年に大きな躍進をとげたはずのプレステージだが、今年は「悲報」続きだ。まずプレステージを襲ったのは加藤リナの引退だ。加藤は2010年デビューのプレステージ生え抜きで大きな人気を博したが、3月作品を最後に引退しプレステージを去った。追い打ちをかけたのが明日花キララのエスワン移籍である。2009年のプレステージ移籍以来、抜群の知名度を生かして看板となってきた明日花が今年4月にプレステージ卒業、7月にアウトビジョン(エスワン)に移籍したことは大きな話題となった。これによりプレステージブランドは地に落ちたといえるだろう。
このアウトビジョンによる明日花キララ引き抜きは、アウトビジョンが2002年にSODの看板女優森下くるみを引き抜いたことを強く想起させるものといえる。
また、プレステージは自前の動画配信サイトMGSが独自コンテンツと先行配信でDMMにたいする優位性を有していたが、4月のシステム改変でユーザビリティが大幅に劣化し、プレステージ信者から大きな批判を受けた。
この劣勢に観念してか、プレステージは、従来DVD発売日から2ヶ月後にDMMで動画配信としていたのを、7月以降、発売日同時配信に方針転換した。このことは、プレステージがアウトビジョンに完全降伏したことを強く印象づけるものといえる。
アウトビジョンとSODの決戦
このように、今年に入り、4大メーカーのうち、KMPとプレステージは壊滅状態となり、最後に残ったのはアウトビジョンとSODだけとなった。アウトビジョンはついにSODを討つことだけに専念できる状況をつくりだすことに成功したのである。次回は、今年に入ってからのアウトビジョンとSODの動向、そして「つぼみ専属」がSODに与えた衝撃について触れたい。
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